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ギター製作家・大西達朗です

ギター製作家としての視点から・・・。でも、ほとんど どうでも良い内容です。

ハウザーモデル のペオネス

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ハウザーは、表板と横板をつなぐ糊代の駒(ペオネス)を隙間を開けて接着しています。当然コピーモデルを製作しているので、こういうところも同じようにします。結構重要な事です。
材料代をケチって隙間を開けているのではありませんよ。(笑)

トーレスはペオネスではなく、長い板状で鋸目を入れてボディー形状に合わせてまげてあるものを接着しています。いわゆる、ライニングと呼んでいる部材です。
ハウザーはライニング方式ではなくペオネス方式で製作しています。
このあたりもマヌエル・ラミレスの影響があるのではないかと思います。



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こちらは隙間なく並べられています。
現代の製作家はこのような方法を取ることが多いようです。
この辺りは、どういうコンセプトで製作するかと言う事を考えてどういう方法にするかを決めなければなりません。
最近、それを解ってない製作家が多いように思われます。
糊代の部材程度で・・・と思われる方がいるかもしれませんが、ほんの細かなことの積み重ねで全然違うものになってしまいます。
やはり、良いものを作るにはこだわりを持っていなければなりません。




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これはラコートモデルのライニングです。
画像は横板と裏板をつないでいるライニングですが、表板と横板をつないでいるものも同じ形状です。
見るとお分かりになると思いますが、薄く長い材を曲げて接着しています。鋸目は入っていません。
19世紀ギターのパノルモはスペイン式工法ですので、ペオネスを隙間を開けて接着していますが。ラコートなどのフレンチギターにはこういう方法が多いです。
間違っても、ラコートタイプのギターにスペイン式工法のペオネスを用いるような事はすべきではないと思います。
何度も言いますが、こういう細かいことの積み重ねが音を作ってゆくものです。変な事をすれば、自然と方向性がずれてきます。
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ハウザー モデル の表板

ヘルマン・ハウザー(Herman Hauser)1世の1944年モデルの表板です。

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画像をクリックしても見難いのですが、力木の位置を墨付けしたところです。
いつもシャープペンシルを使用しています。




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実際に力木を接着した様子。
接着剤には膠を使用しています。
扱いは結構面倒です。

最近の製作家はタイトボンドを使用される方が増えています。
その方が手間要らずですね。
ただ、膠の扱い方がわからない製作家もいるようです。
時代の流れでしょうね。

サウンドホール下の横木は、トーレスが行っていたような、眼鏡橋のようにしてその空間をタコ足(扇状に配された力木)が通過する構造ではありません。

ハウザーはトーレスのコピーとよく言われますけど、このあたりはトーレスを真似ていないように思います。寧ろ、マヌエル・ラミレスの影響が強いのではないかと思います。




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光にかざしてみました。

力木のパーターンがよくわかります。
ちょうどブリッジがくる辺りに横方向に幅広の影が見えます。
ブリッジプレートと呼ばれているようです。
2mm弱の厚みの板です。

これはトーレスにはありません。
ハウザーがやり始めたのではないかと言う事ですが、実際はどうなんでしょうか。

この様に、ブリッジがくる位置の裏側に板を貼ると言うのは、ウィーンギターの発想からきたのではないかと想像しています。(ハウザー1世は元々ウィーンタイプのギターを製作していました)

19世紀ギターにはこの板を貼った物が数多くあります。
ただ、それは、弦の留め方がブリッジに巻きつけるのではなく、弦の端を結び、玉を作ってブリッジに明けられた孔に突っ込んでブリッジピンで固定するため、補強の為のものです。

このハウザーのスパニッシュタイプのギターは、現代のクラシックギターのようにごく普通に弦をブリッジに巻きつけて止めますので、補強は不要です。
ですからハウザーは補強の為に用いたのではないことは明らかです。
表板のドーミングの為に用いたのではないでしょうか。

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ハウザーモデル のVジョイント

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ドイツのギター製作家ヘルマン・ハウザーのギターのヘッドとネックの接合はVジョイントになっています。
注文主さんの指定でオリジナルのハウザーと同じように、Vジョイントで製作したものです。


このような形に加工します。
全部手作業です。
ぴたりと合うように微調整するのが大変です。
嵌めた時のしまり加減が難しいです。
強度に影響しますので、的確な判断が必要です。

この辺の加減をどのくらいにすればよいかは、言葉で説明できません。
感覚で覚える事です。

幸いその様な事は家具製作で培ってきていますので、大丈夫です。口先だけではありません。
 

 ・・・たぶん。  笑



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接合したところです。

上手くいきました!  ・・・って当たり前か。一応、プロの製作家ですから、出来て当然ですね。


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続々 ハウザー モデル のモザイク

前回の続き。

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前々回にも少し書きましたが、中央に来る十字のモザイクです。
金太郎飴のようにおよそ2mmに輪切りしていきます。
100個くらい用意しました。
断面は正方形に見えますが、台形の様になっています。
並べた時に円にならないといけないからです。

見るからに美味しそうです。
まるでチョコチップの様です。
3時のおやつにコーヒーと一緒に食べました ・・・ウソです。
食べられませんが、思わず食べたくなります。(笑)



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一つづつ貼って行きます。
微調整をしたりして綺麗になる様にします。
面倒くさいです。(笑)




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出来上がりですが、型に嵌めたまましばらく乾燥させます。
表板にはめ込む時まで置いておいた方がいいです。



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1mm程度の深さに掘り込んだ後、嵌めこみます。
その前に、完成したモザイクを型から外し、底(接着面)を鉋で均します。
それから接着します。



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飛び出している表面を鉋で丁寧に削り、面一にし、ペーパーで均します。
その後、サウンドホールを刳り貫きます。

以上

次回は、ハウザーギターの特徴の一つである、Vジョイントのお話。 ・・・の予定。

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続 ハウザー モデル のモザイク

昨日の続き
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half-herringbone ハーフ・ヘリングボーンという名称のデザインの部材の製作。
ギターではこのような名称で呼んだりしますが、家具などの象嵌細工では、ロープと呼んだりします。
見た目がロープに似ているからです。
(因みに、ヘリングボーンの方は家具屋では矢羽根と呼んだりしています)

ローズウッドとメイプルを貼り合わせています。
沢山作ります。

面倒くさいです。(笑)



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ずらしてどんどん貼り足していきます。
階段のような感じです。
まだロープという感じではありませんね。



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階段の段々を削り落としています。鉋は「本 国秀」です。刃は特殊鋼かな?使用していてそんな感じがします。良く切れます。

おいしそうな鉋屑が出ます。
食べるとチョコレートの味がします

・・・ウソ。   食べられません!



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段々を削り落としたところ。 50㎝程度の長さがあります。



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2mm幅程度に挽き割りました。



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白、緑、茶、黒に染めてある突板を2㎜幅程度にカットした物をボンドをつけて巻きつけていきます。
途中に「ロープ」が入りました。
どことなくロープに似ているでしょ?

大変手間と時間がかかります。
綺麗に作るのにはチョッとしたコツが要ります。
昔に比べて随分上手く出来る様になりましたが、未だに難しいです。

巻く時、隅々まで神経を行き渡らせながらやらないと上手くいきません。
簡単そうで難しいです。


続きは次回にでも・・・。

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